2017年度全国交流集会は、5月9日~11日、伊東市・ホテル聚楽で参加者125名を集め、開かれた。
座長に高見副会長が就任、開会の挨拶を行い始まった。
主催者を代表して石原中央協会長は、「全国交流集会の位置づけは、NTT労組となり、企業本部体制となり、退職者の会も地方協を廃止し、二段階となったが、これをカバーするために代表者会議、ブロック会議と合わせ全国交流集会も実施することとしたものだ。2011年の東日本大震災の時は、時期をずらし、東北3県支部協と阪神大震災の被災地神戸支部協を入れてパネルディスカションを実施し、全国交流集会が被災地の想いを全国に伝えることができた。退職者の会の基本は、支部協が主体であり、全国千差万別だが、支部協の自主性を尊重し、中央協は、全国的な課題の調整に取り組んでいる。もう一つは、退職者の会は、現・退一致の枠組みで取り組んでいく。そして全国一致して取り組むのは、参議院選挙の比例代表の取り組みであり、気合いを一致させて進めていく。昨年の総選挙後のアンケートでは、退職者3000名に対し、約1200名の回答があった。大混乱の総選挙であり、新しい政党ができたが、安心できる状況ではない。NTT労組、情報労連は、吉川参議院議員の必勝を期す取り組みを行っていく。是非、ご理解を」と訴えた。
続いて、安藤NTT労組中央本部副執行委員長は、日頃のNTT労組の運動に協力を頂いていることや総選挙の取り組みについての協力にお礼を申し上げた後「7月12日開催予定の全国大会の議案作成中だが、全電通からNTT労組となり20年経つが、結成20年の足跡・歴史を振り返り、次の時代につなげる節目の大会としたい。解散・総選挙後は、民進党が3つに分裂した。衆議院議員は、田嶋が希望の党、岡本は立憲、山井は希望となったが参議院議員石橋、吉川、森本は民進党に残った。NTT労組としては、3党の動きを見なければ組織内は動かせないと判断した。7月の全国大会では、来年の吉川参議院議員の選挙や統一地方選もあり、そろそろタイムリミトも近づいていた。3党分裂にどう対応するのか、国会議員もバラバラでどこから出るのか、①政党に対するスタンス②国会議員、とりわけ吉川をどこの政党から出すのか、③111名の自治体議員団がいるが、統一地方選挙にどう対応するのが課題となっている。その基本は、勤労者、生活者、納税者の立場に立った政策であり、自民党に対峙し、結集軸をどうするかだが、描ききれていない。戻せば支持率の低い民進党に戻るだけだ。立憲はフォローの風で戦ってきた。2ケタの支持率もある。しかし、独自の方針を立てていて戻る考えはない。こうした中で、当面、対応する政治方針は、先に述べた3つの課題がある。NTT労組にも基本理念があり、組合員・退職者の会会員に理解と納得が必要であり、勝てる条件も必要だ。5月7日、民進党・希望の党の二つが国民民主党を結成したが、その機会に決断しなければならない。吉川・石橋は、立憲、田嶋は比例復活であり、立憲にはいけないので無所属、山井と森本は、地域の選挙情勢、連合の対応から国民民主党を決断した。自治体議員は、民進党だったが、何もしなければそのまま国民民主党となる。この機会に移る人も、大会までは職責をそのまま全うする人もおり、地域、後援会の関係も考慮して幅をもって対応してもらっている。次の総選挙までは野党の結集とは思うが、見守らなければならない。今、立憲が掲げている国民主権、基本的人権の尊重、平和主義の綱領は、NTT労組の基本理念、指針と親和性が高い。国民民主党とは理念、政策を見極めて検討するが、大会では方針を提起したい。「吉川さおり」の取り組みであるが、総選挙後のアンケート結果は、退職者の会では1261名が回答した。投票率では、世の中が53%、現役が79.1%、年代が下がるごとに、25歳から29歳は、4割が投票にいかない。24歳以下は5割がいかないのに対し、退職者の投票率は94.3%で回答した人の意識が高い。選挙区の投票先では、現役は、立憲33%、希望18.4%、自民党29.2%、退職者は、立憲32.8%、希望30%、自民10%であり、35歳以下は自民党が5割以上となっている。比例区では、現役は、立憲37%、希望13%、自民25%、退職者は立憲61%、希望16%、自民5.9%である。吉川さおりについては、知らないというのが退職者で1割、会ったことがないは7割になっている。1年後の情勢はこれまでにない厳しい状況であり、分裂により枠は少ない。石橋選挙では、個人票は17.1万票で11人中9位、吉川の前回は、16.7万票で7人中6位だ。これまで以上の取り組み、浸透と行動をお願いしたい。退職者の会のアンケートでは、石橋選挙の時に認知度は85%、個人名で投票したのは65.1%、なぜ個人名を書かなかったのかの設問に対し、政党名でもよいと思ったが41%、本来政党名を書かなくてはいけないと思ったが40%である。吉川は、全国対話会や学習会をやって知名度を高めることをやっているが、国会会期中は稼働が増えて中々行けない。立憲の参議院議員は16名で時間的制約がでてくる。その代わりを退職者の会の取り組みでお願いしたい。」と挨拶した。
特別講演では「高齢者の消費者トラブルとトラブル防止のために」をテーマに鈴木基代独立行政法人国民生活センター相談情報部上席参事を講師に受けた。
鈴木さんは、消費者行政の仕組みと国民生活センターの役割についてお話された後、消費者生活相談の現状では、相談件数は、87.6万件、利用した覚えのないサイト利用料の請求等「架空請求」が増加傾向にあり、消費者被害・トラブルは、推計約4.8兆円の膨大になっているとのことである。また、私たちに直接関係する高齢者の消費者トラブルでは、お金、健康、孤独という3大不安につけこまれやすいという。具体的事例では、「架空請求」「還付金詐欺」「SF商法(催眠商法)」「保険商品」の銀行販売、「点検商法」など説明。最後に困ったときには、自分だけで解決せずに全国共通の電話番号「消費者ホットライン」188に相談して欲しいと呼びかけた。
特別講演の二つ目は、「NTT労組の現状と課題」をテーマに日野NTT労組中央本部企画組織部長より受けた。
日野部長は、NTTグループの事業環境、2018春闘の取り組み、NTT労組の現状、第21回定期全国大会に向けての4つの課題について説明した。特に、NTT労組の現状では、企業本部別の組織人員は、NTTグループ主要会社の人員数の推移に伴い、大きく変化し、1999年で東西が79.7%であったものが、2017年では55.5%と低下し、ドコモは、3.2%から13.5%、データは4.8%から11.5%と増加している。また、雇用形態別でも有期組合員数や60歳超え組合員が増加してきている。このような変化と合わせ、組織人員が減少し、今後もNTT労組の財政は縮小していくとみている。そうした中で退職者の会会員と組合員数は、47都道府県のうち36県域等において退職者の会員数が上回っているとの説明が行われた。こうした変化や環境をふまえ、全国大会では、NTT労組の「持続的な発展」に向けて、組織機能・体制や役員配置、組織強化に向けた人財育成について検討していくことを明らかにした。
二日目は、冒頭、「NTT労組退職者の会の概要と当面の課題」について、川辺中央協事務局長より、主な歩み、会の目的と活動、組織、会の現状と課題の説明があった。
続いて、特別講話として「社会保障の現状と課題」をテーマに中島特定社会保険労務士を講師としてお話しをお聞きした。
中島講師は、高齢者に最も身近で、重要な課題である医療・介護・年金について講演した。
医療では、医療費の一部負担(自己負担割合)、高額療養費の仕組み、介護では在宅医療の体制、利用者負担割合の見直し、高額介護サービス費、高額介護合算医療費、第7次介護保険(支援)事業、地域包括ケアシステムの構築等を、年金問題では、年金支給額の改定ルール説明した。中島講師は、単に制度の仕組みだけではなく、「社会保障と税の一体改革による社会保障制度の将来像とそれを支える税財政のあり方の論議か必要であり、互助を前面に押し出し、地域丸ごと、民間丸投げ、患者、利用者負担増、年金支給額抑制を先行するのは本末転倒であり、対処療法とすら言えない」と述べ、今の社会保障のあり方に強く懸念を示すなど現状の課題と問題点を明らかにした。
その後、第一興商の音楽指導士による「健康講座・健康体操」が行われた。
これは、ここ数年、全国交流集会で取り上げ、好評であり、歌と健康体操により、健康寿命を延ばす取り組みの一環として実施しているものである。健康体操は、第一興商の音楽健康指導士2名により、参加者が音楽合わせて歌たり、身体を動かしたり、頭の体操を含めて実施。参加者からは慣れない動作の中でも軽い汗と笑いが起き、楽しい時間を過ごした。
昼食休憩後は、6つの分散会に分かれ、「会と会員のコミュニケーションの充実」をテーマに討論が行われた。参加者からは、各支部協や地区協の取り組み、活動の悩みなど活発な討論が行われ、予定した会議は終了した。
分散会の状況は次のとおりである。