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NTT労働組合退職者の会

トピックス

2023年3月13日
2022年度オンライン学習会「医療・年金・介護制度」

2月27日、日本退職者連合常任幹事で政策委員の川端邦彦さんを講師に招き、各支部協の会長、事務局長等が参加しZOOMを利用してのオンライン学習会を行った。

森嶋中央協会長挨拶

はじめに、森嶋会長は「①ロシアによるウクライナへの軍事進攻から1年が経過したが、終息が見えない状況にある。NTT労組は『平和基金カンパ』からカンパ金を拠出し、ウクライナへの追加支援として、前回の寄付先『AAR JAPAN』と『UNHCR』へ寄付を行った。②2月6日にトルコ・シリアでの大きな地震が発生し5万人以上が亡くなっている。退職者の会もNTT労組と相談して、カンパを実施する。カンパ方法はウクライナカンパと同様とし、具体的には『ひろがりネット(3月5日版)』、ホームページで明らかにするので、ご協力をお願いする。③今回の学習会は、現在211回通常国会が開かれ、防衛政策の大転換、少子化対策、社会保障政策等が論議されている。ただ統一地方選挙との絡みもあり、意図的に先送りする可能性もある。医療・年金・介護制度の課題はいずれ、出てくる。勉強し理解を深めることが重要であり、今回学習会を開催することとした」と述べた。

学習会内容

介護保険制度の現状と課題

介護保険は事業計画を3年ごとに見直しを行っており、24年度は改正の年で、2000年の創設時に比し総費用は4倍、保険料は2倍に達し、負担等給付の見直しは避けられない。しかし、社会保障審議会介護保険部会において、昨年12月にまとめられた見直しでは、給付と負担に関する項目の多くは、統一地方選の最中に厳しい見直しの議論を避け先送る形で一定の結論とされた。
見直し課題については、①1号保険料負担の在り方、②現役並み所得(3割負担の対象拡大)、一定以上所得(2割負担の対象拡大)の判断基準、③介護医療院などの多床室の室料負担、④ケアマネジメントに関する給付の在り方、⑤軽度者への生活援助サービス等に関する給付の在り方、⑥補足給付に関する給付の在り方、⑦被保険者範囲・受給者範囲等であり、①、②、③項目については、2024年度改正で実現する方向で、23年夏までに結論を得る予定。

医療保険制度

社会保障審議会医療保険部会では、22年末に「議論の整理」を取りまとめた、主な内容は、①出産育児一時金を42万円から50万円に引き上げる。財源の一部として後期高齢者制度からも支援金を負担、②後期高齢者保険料負担の変更〈後期高齢者と現役の支援金の伸び率を同じにして、高齢者の負担を高める〉、③年間の後期高齢者保険料の賦課限度額を66万円から80万円に引き上げる。その他、被用者保険の保険料率は、被用者保険における負担能力に応じて、格差を是正する観点から、加入者数に応じて被用者保険の間で調整を行っている。これを是正する観点から、現行の仕組みに加え、「報酬水準に応じた調整」を部分的に導入し、負担能力に応じた負担とする。

公的年金保険

次の年金改革は2025年で、改定課題は①マクロ経済スライド(少子高齢化が進行しても、財源の範囲内で給付費を賄えるよう、年金額の価値を自動調整する仕組み)の見直し、②被用者保険適用拡大、③職業生活多様性に応じた年金受給の在り方、④高所得者の年金給付の在り方などがある。
公的年金保険は、現役世代が納入した保険料で退職世代の生活を支える賦課方式のため、年金財政改善の課題と方法として、「集める」では、払い手(被保険者)を増やすため①人口を増やす、②高齢者や女性の就労を増やす、③加入者を増やす・短時間労働者をはじめ雇用保険と同等の加入、④加入期間を延長する。「配る」では、①支給期間短縮、②支給月額切り下げ・引き上げ抑制が考えられている。
マクロ経済スライドについては、退職者連合は「マクロ経済スライド制度による年金額調整のあり方について、現受給者の年金を守るとともに将来の年金受給世代が貧困に陥らない年金額水準を確保できることを重視して、退職者連合と誠実に協議すること」を要求している。

川端氏は各制度の改定課題を説明後、「社会保障について、1962年に社会保障制度審議会が出した答申・勧告『社会保障における応能負担は財源調達面に限るのであり、リスクに直面してニーズが顕在化し給付を受ける段階で、自己負担率に差を設けることは社会保障の理念にそぐわない』と述べている。この原則に立ち返り、退職者連合は、医療保険・介護保険共に『応能負担は保険料算定の段階のものとし、給付を受ける段階では低所得者に対する減免を前提に、自己負担率に差を設けない制度とする。』ことを要求しているが、本日は退連の方針・要求というより一緒に考えるための問題提起にしたい。」と述べ、学習会を終了した。

講師紹介

川端邦彦氏
川端邦彦氏(福岡県大牟田市生まれ)
東京都庁民生局就職
都職労民生局支部・書記長 都庁職書記次長
自治労中央執行委員・書記次長
全日本自治体退職者会事務局長
退職者連合常任幹事

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